深爪
2020年4月25日、28回目の誕生日。
学生時代に思い描いていた28歳は、もっともっと大人な気がしてたけど。あの時、想像した大人になれているのかな?と、ふと考える今日この頃。(数年、同じこと考えている)
去年の誕生日に"これからは歳を取るのではなく、重ねていきたい"そんなことを言っていた気がする。
1年経って、振り返ってみたけど、この1年の流れが早過ぎて正直、余裕がなかった。
27歳の誕生日から2ヶ月と少し、母が逝った。
その頃から私の右手の薬指はずっと深爪だった。
小さい頃から身体に不調があると爪の形が変わる事が多かった。ボコボコの横縞の爪は脆く、切る度に割れた。
割れた爪は、素直に気になるしカッコ悪いから嫌いだった。でも、あの頃から割れ始めた私の左手、薬指の爪だけは嫌いになれなかった。
ここだけ、この指の先だけは目に見える形で母と繋がっている気がしたから。
爪が伸びる度、切る度に切なくて悲しくて寂しい気持ちになって。綺麗な爪になった時、私はこの気持ちを乗り越えられているのかと何度も考えた。
昨日、最後の横縞を整えた。
まだ、正直、気持ちの整理はできていない。
色々と覚悟していたけど、やっぱり厳しかった現実も事が上手く進むようになった矢先の困難も沢山あって、何事にも優しくなれない時がある今の自分が嫌いだ。
だから、今年は新しく綺麗に生まれ変わった爪を眺めながら、寂しさを乗り越える時間を与えてくれた母に感謝して
何事にも優しく、心の穏やかな人になりたいと思う。